4月
28

前回に引き続き、formlabs 訪問2日目。2日目とはいえこれが最終日で、formlabs本社の見学になる。

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閑静な住宅街。てっきり大雪が降る地域だと思ってたから北海道みたいな二重サッシとか二重の玄関とかを想像していたけれども、普通の家だった。普通の家といってもどこか日本と雰囲気が違う。

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この左側のレンガ造りの建物がformlabs本社。ちょうど拡張中で最初は手前半分の3フロアだったのが建物全体になるそう。

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2階研究拠点の入り口。Form1とForm2が並べられている。1階は素材開発と試作のスペースで、完全に非公開だった。非公開と言われててっきり開発拠点は全て非公開かと思いきや、2階がメインの開発スペースだった。

2階も撮影は禁止で、この入口だけ撮らせてもらえた。

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写真では見たことがあったけど最初の試作からForm1までの軌跡は改めてすごいと思いながら見た。最初の一人で作ったコンセプトから着実に製品へと仕上がっていく。どのタイミングでどのぐらいの投資を受けたのかすごく興味がある。

スタートアップは最初は全部自分で作るということが大切だと思ってる。最初の共同創業者を集めるにしてもコンセプトが伝わらないといけない。新しいもの、革新的なものであればあるほどそれを伝えるのは難しくなってくる。そうした時重要なのは取り敢えず動く物をキャッシュアウトを抑えつつ作れるスキルだ。

最初の最初は本人すらもそれが有用なもかどうかわからない。だから形にしてみる必要がある。ここまではよくプロダクトデザインの授業とかで言われる。スタートアップの最初の試作はそれだけじゃなく実際にそのアイデアが価値あるものなのかどうかを判断したり、投資を集めたり、創業メンバーを集めたりと、あらゆる重要な役割を持つ。

重要なのは思いついた本人が出来る限り独断で全ての作業を行うことだ。

これは結構賛否両論あって人によっては職人気質でアイデアに広がりが出ない、非常に日本的な考え方でよくないと言われることもあるけれども、これが一番重要だと思っている。

この前書いたベンチャー性とビジネス性のバランスについてもそうだけれども、最初の時点でこれは儲かりそうだというアイデアはすでにもう誰かがやっている可能性が高い。誰かがやっているだけなら百歩譲ってビジネスだから俺の方がうまく行くということでやり始めていいとして、問題なのは大概の場合なんらかのなんらかの強力なない理由があって、既に誰かが思いついてやってみて失敗して跡形も無くなって、ないように見えてるだけの場合が多い。

特にアプリは良くも悪くも誰でも最初のコンセプトを示すぐらいはできてしまうのでよりこの可能性が高くなっている。

そのため、最初の最初の段階で仕事として人を集めるというのはかなり難しい。こういう書き方をすると偉そうだけれども、経験者としてそれはすごく思う。

そうなって来ると何が重要かというと理念とそれを体現した(仮に荒けづりでその作った本人しかまともに使えない状況であったとしても)コンセプトを体現するプロトタイプが非常に重要になって来る。

ただここでハードウェアスタートアップの関門その1が出て来る。ソフトウェアと違いハードウェアは取り敢えず動くのと量産できて販売ますの間にそれこそ海より広くて深い川がある。

ソフトウェアの場合リリースしてから治すことができるけれども、ハードウェアはそうはいかない  みたいなことはよく言われてるし確かにそうなんだけれども、個人的にもっと問題何箱の量産できますというところだ。

実は  というのもなんだかおかしいけれども、量産したことあるエンジニアさんというのは思った以上に少ないし出会わない。そしてそのノウハウは完全に非言語化された第六感のような何かで成り立っている世界だ。

さらに量産なので現状大企業にいた人しかいない。そうなるとコスト感とスピード感を合わせる作業が思ったより大変。
この辺りにお金で解決できない問題が出て来る。ベンチャー経営で重要なのはいかに早くお金の問題だけですという状態にいかに早く落とし込むかだ。

そうなった時、最初の段階ではお金で解決できない問題がたくさんある。ある程度方針が決まってしまって、それこそ仕様書も固まった状態ではお金で解決できることも増えてくるし、人を入れればいいという段階になってくる。

だけれどもハードウェアの場合下手するとそれは最初のバージョンの製品が終わり、下手をするとv2、v3の段階になって初めてその段階に行き着くということがしばしばある。formlabsの場合、それがどの段階だったのかがすごく気になる。みている感じだとかなり早い段階で専門家の手に委ねているように感じる。

Fab施設に通う人たちが、arduinoや3Dプリンターをはじめとしたありとあらゆる種類のスキルをつけてほぼすべてのものを作れる方法として勉強して行くけれども、いわゆるエンジニアになることはかなり難しい。身につくのはあくまでプロトを作る技術で、製品を作ることのできる技術ではない。

ではいったいどの程度のスキル、どの程度のプロトまでは自分たちで作るべきなのかというのをもう少し明確化してみたいと思っている。その人のやりたいところまでといえばそれまでなんだけれども、いったいどの程度までで投資家に見せるべきなのか、人を入れて開発を始めるべきなのかをもう少し具体的に事例を集めていきたいと思っている。

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ここからは撮影が許可された3階、開発以外の部署と広間がある。広間には本体以外の試作の過程が展示されていた。これですべてってことはないだろうけれども、これだけでも結構ボリュームがある。

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驚いたのはフィニッシュキットのスクレーバーだけでもこれだけの試作をしているというところ。開発ならこれぐらいするのは当たり前といえばそうなのかもしれないけれど、スクレーバーに開発という作業がきちんと入っていたのは驚いた。あれな話、別にベンチとヘラをつけておけばすんでしまうといえばすんでしまう。(ちゃんとそれはそれでついてる)

それをここまでちゃんと使い勝手を検証しながら試作していたのは驚いた。普通のベンチャーならフィニッシュキットはこだわりたいと思ってもV2の段階ではここまで開発の手が回らないんじゃないかと思う。

もちろんそれだけ後処理を含めた体験向上のプライオリティーをあげているとはいえ、付属品の開発になかなかここまでできるもんじゃないと思う。

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ワイパーやタンクの試作。ちなみにタンクは左から順に

レーザーカッターでのアクリル貼り合わせ➡︎FDM➡︎切削➡︎テストショット

の順に並んでいる。下のワイパーもだいたいそんな感じで並んでいる。そうそう、デジタルファブリケーション機器でこういったプロセス、どんどん作ってみてだんだんと精度を上げて行く開発プロセスを踏みたいんだよとみていて少し嬉しくなったと同時に、YOKOITOもはやくもの作りたいなあと思った。せっかく環境が整っているのにもったいない。デジタルファブリケーション機器のすごさは定量的じゃなくて定性的なはなしになる。最近定性的な話はもう自分でつかって効果を示すしかないんじゃないかと思っている。

やっぱり、本当にものづくりのプロセスを変えてプロダクトに作家性を出すには自分たちでやってみるしかないだろう。

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レジンカートリッジの試作。どれもこれもきちんと一つ一つ、最初はポリタンクみたいな買ってきたものからだんだんと精度を上げて行く。このプロセスが見てて気持ちいい。

次回は開発以外の部署について書きます。

About the Author
ものとものに係る仕組みをつくっています。 ゴミとものの間を彷徨います。YOKOITO(@YOKOITO_info)代表 /デジタルファブリケーション/SFC/DMM.makeAKIBAーroom111

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