4月
17

随分間が空いてしまったけど、form2.shopの下地の意味もあるので改めてちゃんと書く。

前回ボストンに着いてなんとか朝起きて朝食の会場に行くともうそこがpartner’s summitの会場だった。

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partner’s summitはまる2日間で1日目はずっとセミナー。いったい1日中なにをセミナーするのかと思っていたけれども始まってみるとすごく面白くてあっという間。IMG_1660 IMG_8818

細かい内容は書くときりがないから(多分form2.shopの記事はもっと端折ると思うけど)formlabsの主張(?)はまとめると3点

・3Dプリンター市場はパソコン市場の成長に例えられる

・Professional 3Dプリンティングという概念が台頭すると考えている

・歯科用途が急速に広がる

の3点だった。

・3Dプリンター市場はパソコン市場の成長に例えられる

これは言い方としては『SFを実現する』のワープロの使い方のたとえみたいな印象を受けた。

パソコンも最初軍用技術で一般の人が使うなんてことは想像だにしなかったし、何に使うかもわからなかった。最初はeメールから始まったけれどもそれだけといえばそれだけ。誰もがこれ以上の処理能力なんていらないんじゃないかと言っていたけれども、実際はそんなことなく処理能力が上がるにつれそれを使い切るだけの表現や用途が出てきた。3Dプリンターもそれと同じで、どのようなことに使えるかなどはわからない。ただ、性能が上がっていけばいくほどそれを満たすだけの用途が生まれるし、キラーコンテンツが生まれて爆発的に普及するタイミングが来るだろう

という考え方。個人的にはこれはちょっと違和感がある。違和感があるんだけれども、そうかもしれないな・・・ともおもってしまう。パソコンも普及した要因は結局アメリカでサラリーマンでも確定申告が必要でそれにすごく便利だったからとか、日本でインクジェットプリンターが普及したのは年賀状があったからとかそういったキラーコンテンツがあるからだっていう話も同じような印象を受ける。

穴を売るじゃないけれども、確かに3Dプリンターは道具だから道具の可能性を語るという点では無限の可能性があります、何でも作れますという言い方ができなくはないのだけれども、やっぱり順番が逆だと思う。専用機の機能がいくつか組み合わさって汎用機になることはあっても、汎用機から専用機が生まれるというのは非常に難しいことなんじゃないかと思っている。

結局ぽしゃってしまってしまったけれども、Project Araで出てきた3D Systems の携帯モジュール3Dプリント用3Dプリンターみたいな専用機が結果的には3Dプリンター、3Dプリントの未来を率いていくんじゃないかと思っている。

(Project Ara 3D printer)

・Professional 3D Printingという概念が台頭すると考えている

これが一番面白かった。なんとなくみんな思ってはいたけれども、定義していなかった部分だと思う。

「ハードウェアエンジニアが開発のために日常的に使う3Dプリント」

というところに着目している。”日常的に”というところがポイントで、これは業務用機器で例えば順番が回ってくるのを1日待ったり外注して(今までに比べれば十分早いけれども)2、3日待ってというのでは意味がなく、使いたい時に使えるてすぐに造形物が手に取れるというところが重要。

Form2に限らず、開発に使える3Dプリンターが日常的に、もっと言ってしまえば一人1台あるというのは今までの3Dプリントとは全く意味が変わってくる。Formlabs Japanの新井原さんは3Dプリント体験という言葉を使っている。

これはデジタルファブリケーションの考え方そのものにも大きく関わることで、この前書いた自分の道具かそうでないかという話もそうだし、自由に使える機材が手元にあるというのは3DGANさんが言っているけれども定性的効果としてものすごいものがある。
試そうとした時に自分一人で試せるのか、いくつかのパターンをその日のうちかどんなに遅くとも次の日中には試すことができるのか。これができてこそ初めて、Hardware is new Softwareが始まる。今までとはけたの違う試作を繰り返し、実際にアイデアを形にして体験して見て検証。そしてまた別にアイデアを形にして検証を繰り返す。

友人のsonken625とサービスを一つ作っていて、ソフトウェアの新しいものを作る,新しい価値を作るやり方、仕組み、ポテンシャルに本当に驚く。ソフトウェアとベンチャーの手法についてはまたそれ単体で書こうと思う。

 

話を戻すと、このソフトウェアと同じように試して直してを繰り返すことができるようになる、プロが新しい価値を作るための3Dプリントを特別に”Professional 3D Printing”と定義している。

改めてまとめると”Professional 3D Printing”を実現するための条件は(前提として出力精度・歩留まりが使えるレベルまで行った上で)3つ

  • 限りなく1人1台に近い環境
  • オペレーションに専門知識を必要としない
  • 毎日使っても稟議が必要ないレベルの材料費

formlabs Form2はこのProfessional 3D Printingを念頭に設計されている。3Dプリンターブームから約3年、そろそろこの定性的効果も広げることができるのではないかと思っている。

17年度は3Dプリンター以外のものも少しずつ事業として纏めていきたいと思う。

・歯科用途が急速に広がる

もともと歯科用途はマスカスタマイゼーションが必要とされる分野としてかなり前から3Dプリンターの活用事例として注目されてきた。実際、矯正用マウスピース、クリアライナーを生産しているinvisalignは3Dプリンターの活用事例としてかなり前から注目されてきた。

invisalignの工場。マウスピースのバキュームフォームの原型に3Dプリントが使われている。

Stratasys、3Dsystemsもかなり前から目をつけていて、最近だと2017年1月に3DsystemsがVertex Global Holding BVを買収した。

歯科用に関してもまた改めて書くけれども、この分野はForm2に限らずBEGO VarseoとかRapidshapeとかいった小型機の発展ですごく伸びると思う。CAD/CAM冠の現状を踏まえても、小型機の発展が重要なのがよくわかる。その理由についても纏めて書こうと思う。


他にもマーケティングワークショップや技術的な解説があったけれども、以上3点が主なトピックだった。

やっぱりProfessional 3D Printingの考え方が面白い。ハードウェアのアジャイル開発を行う上での定性的な話が明確に打ち出されてくるのだと思う。

定性的な話は結局、事例の積み重ねでしかないのできちんとした事例の取材をベースとした発信を心がけつつ、普及が進められればいいと思うし、事例自体作っていく姿勢を忘れないようにしたいと思う。

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1日目の懇親会。世界中からパートナー企業が集まってくる。次の2日目の会社見学で書くけれども、まさに勢いのあるハードウェアベンチャーだった。

About the Author
ものとものに係る仕組みをつくっています。 ゴミとものの間を彷徨います。YOKOITO(@YOKOITO_info)代表 /デジタルファブリケーション/SFC/DMM.makeAKIBAーroom111

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