3月
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デジタルファブリケーションについては散々語られているから と言いたいところなのだけれども、結局のところ3Dプリンターブーム(これ自体振り返ってあまりはっきりとは纏められていない気も)以来レーザーカッターやその他デジタルファブリケーション機材を総合的に利用した議論・意見発信はあまりなされていないと思う。

総務省から出ている「ファブ社会の基盤設計に関する検討会」 報告書(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000030.html)が発信されているものでは一番まとまっていて深く議論されていると思うけれども、基本的にこれは“創造的市民”というクリエイターとユーザーが一体化した存在が一定数以上いる状況下での議論を行っている為、先の社会を見据えての話のような印象がある。FABはもともとの思想がそういった思想であり社会実験として始まっているので今後もそうなっていく。(FYI : https://fabcross.jp/topics/event_report/20160302_sww2016_03.html

結果としてFABは教育として語られやすく、一般教養として扱われ現状のものづくりからは一歩離れた印象をもたらしている気がする。(FYI STEMとFAB:http://www.tiesteach.org  , )

問題はユーザーがユーザーとして存在し、作りてはつくり手として明確に分かれ存在している間デジタルファブリケーションはどういう役割を担うのかというところが意外と話されていないし、もっと議論されなくてはならないと思う。

デジタルファブリケーションは想像した未来を現実にする時間を早くする原理だと考えている。

技術開発はは勿論偶然の産物もあるけれどもこうしたい・こういうことをしてみたいという人の想像からそれを実現するために行われている。想像の殆どは当然ながらなかなか形にならないしなったとしても価値にならない。

今までは想像・アイデアを形にするためにはかなりのリソースが割かれなくてはならずとりあえず形にしてみるだけでもたとえ大きな組織内だったとしても限られた人にしか出来なかった。仮に出来たとしてもその思いついたアイデアを形にするために人に伝えるというプロセスはとても難しいことだと思う。

これをデジタルファブリケーションは誰もがとりあえず自分のアイデア形にしてみることができ、形にする作業を一人で完結できるようになる。それによってアイデアの伝わり方・説得力が今まではありえないほど高い次元で増える。伝えられる情報量が今までとは比べ物にならないほど増加することによって人が動く速度が変わってくる。新しいものの生み出される速度が格段に早くなる。比較的抽象的な研究分野で行われた開発が現実に実用化される速度が段違いになる。結果として未来が現実になる速度が早くなる。これがデジタルファブリケーションの役割であり効果であり本質だと思う。


形を伝えるのはとても難しい。正方形だけでも、言葉で説明して全く同じ形を書いてもらうためにはそれなりの手順を踏む必要がある。

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少し極端な例かもしれないけれどもFusion360のデモにあったカッターナイフなんて言葉で共有するのは不可能だろう。

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図学というものがあるぐらいにものがどういうものなのかということを共有することは難しい。更に厄介と言ってはあれかもしれないけれども、物の場合作った本人でも実際に持った感じ・結局のところのサイズ感や印象は作った本人でも画面上ではわからないことがほとんど。それほどに立体は情報量が多い。

これが新しい機能を持っていて、インターネットと通信してスマホと連携してサービスが付いてそこにメカが動きをつけて となったらもうどうしようもない。作ってみるしか無い。


今まではこのとりあえず作ってみる の段階でどんなに安くしても100万円ぐらいかかってしまっていた。それが3Dプリンターの登場によって格段に安くなる。それでも産業用3Dプリンターでは数万円かかってしまうし、専門の設備とそれなりの維持費がかかってしまう。

パーソナル3Dプリンターは数百円で自分のデスクの上で完結することが出来る。他のデジタルファブリケーション機器を使いそこにmbedやArduinoなどのオープンソースを組み合わせれば勿論最終製品そっくりを再現できないまでも体験をすることが出来るところまで作り込める。それが全体でどんなにかかっても10万円、一週間あれば形にして、人に伝え動かすことが出来る。専門的な教育を受けないでもある程度勉強をしたり数回の講習会を補助的にりょうすれば今までではありえない早さでここまでを一人で完結することができるようになる。これがデジタルファブリケーションの力だと思う。

ITのここまで極端な早さでの発展の要因の一つにとりあえず画面上で作ってみて動かしてダメだったら修正ということがすぐできる様になったことが大きいと思う。勿論ITと同じようには行かないけれども、ちょっとでも良さそうならアイデアを形にしてみる。自分でそれを確かめられて、良さそうだったら人に見せることが出来る。最終的な製品にすることは相変わらず難しいけれども最終的な製品のきっかけの数をデジタルファブリケーションは桁違いにすることが出来る。

この可能性を信じて、これからもデジタルファブリケーションの普及とそこから始まるものの可能性の広がりを追求していきたいと思う。

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B2Cで何かやりたいと思いつつも、迷走中。 ゴミとものの間を彷徨います。 

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